2014年7月1日
政府税制調査会では、法人税の実効税率を現在の約35%を来年度から段階的に引き下げ約20%台にすることを大筋で合意しました。これは企業にとっては税負担だけで判断すると喜ばしいことではあるのですが、その減税分による社会保障等の財源確保をどうするかといった問題があります。この減税財源を確保するために外形標準課税の導入が検討されています。
この財源確保を補うための案のひとつとして、赤字企業にも課税される外形標準課税の対象を、中小企業に拡大することが盛り込こまれています。
外形標準課税とは、簡単にいいますと給与支払額や資本金などを外形から客観的に判断できる基準で税額を計算する仕組みとなります。現在は全法人の約1%に当たる資本金1億円超の大企業が対象になっていますが、これを1億円以下の中小企業も対象とすることが望ましいと改革案に明記されています。
そうすると赤字企業で資金繰りの厳しい企業にとっては税負担が増えることによってさらに資金繰りを悪化させるなどの問題も出てくるのではないかと思われます。
なお法人税改革案には、外形標準課税の他に、中小企業で800万円以下の所得に適用される法人税率の軽減措置の見直、欠損金の繰越控除制度は現行の9年から延長する一方、毎年度の上限額を引き下げることなど盛り込まれています。
日本の中小企業の数は、全産業の99%が中小企業といわれています。財源確保といった大きな課題はありますが、業績回復が比較的遅れている中小企業の税負担が更に重くなることが予想されます。
具体的な下げ幅や財源は決まっていなく、改革案は秋以降に本格化する税制改正作業に反映されるとのこと。企業経営における『タックスプランニング』は今まで以上に大事なものとなります。札幌経営センターには専門スタッフが多数います。ぜひ当社まで問い合わせください。