2016年8月5日
税務上の損失計上には一定の要件があり、税務調査で指摘されることがあります。
今回はその中でも「貸倒れ」についてご紹介を致します。
「貸倒れ」とは売掛金や貸付金などの金銭債権が、相手先の倒産などで回収できなくなることを言います。
回収の努力をしたにもかかわらず、やむを得ず貸倒れとなった金銭債権は「貸倒損失」として損失計上することになります。
しかし、損失計上には恣意性が介入しやすく、利益調整に繋がる恐れがあるため、税務上の取り扱いには注意が必要です。
実際に損失計上する際は以下のような点に気を付けましょう。
・債権がいつどのようにして発生したのか、また、現在までの回収状況はどうなっているか
・債権者に対する督促を適宜行っているか、また、それに対してどのような回答があったのか
・債権者の経営状況及び財務状況はどのような状態であるか、また、法的な措置は取られているか
・売掛金が貸倒れた場合は控除する消費税額の税率がきちんと売上計上時の税率で計算しているか
・そもそも本当に貸倒損失なのか?(利益が出ているのに、取引先の救済のために債権を放棄した場合や、回収の可能性があるのに回収の努力が足りていない状態で放棄した債権については、税務上は「寄附金」として損金算入が制限される場合があります)
貸倒れが発生すると自社の経営に甚大な影響を及ぼしかねません。
新規の取引先へは少額の現金取引からはじめるといった対策もそうですが、既存の取引先の動向を注視することも重要です。
また、社内では売掛金の残高など経理部門が持つ情報を営業部門と共有させられる環境を作ることも必要です。
少なくとも毎月1回は取引先ごとに債権残高を管理するようにしましょう。
お悩みの方が居りましたら、是非一度さっぽろ経営センターまでご相談ください。