2017年2月3日
医療法人には、「持分あり医療法人」と「持分なし医療法人」の2つの形態があります。
「持分あり医療法人」とは、出資者が医療法人に対し、出資割合に応じた資産の払戻しを請求することが可能な形態です。すなわち、純資産が大きく増加している場合には、多額の払戻しが考えられます。
「持分なし医療法人」とは、出資者が医療法人に対し一切の払戻しを請求できない形態、又は、単に出資額のみの払戻しを請求することが可能な形態です。
医療法の改正により、平成19年4月以降「持分あり医療法人」は設立できなくなり、現在は「持分なし医療法人」のみ設立が認められております。
一方、医療法改正前の平成19年3月以前に設立された「持分あり医療法人」を「持分なし医療法人」に移行させることは出資者の財産権を侵害することになるため、強制的には行われずあくまでも自主的な移行となります。
「持分あり医療法人」が「持分なし医療法人」に移行することを選択した場合、出資者全員が持分を放棄することとなりますが、ここで贈与税が大きな問題となります。
というのも、出資者全員が持分払戻請求権を放棄するということは、医療法人に経済的利益を発生させることとなり、この場合、相続税法66条の規定に基づき、医療法人に贈与税を課されるケースがあるからです。
この点、施行令および通達では、一定の要件をクリアしていれば贈与税を課さないものと定められています(非課税要件)。しかしこの非課税要件はハードルが高く、大半の医療法人にとっては満たすことが困難なものと思われます。
さて、平成29年税制改正において、上記「非課税要件」をよりハードルの低い要件に改正することが検討されています。
改正の内容によっては、大半の医療法人にとっても「持分なし医療法人」への移行が現実的な選択肢となるかもしれません。
実際に「持分なし医療法人」に移行する前には、移行によるメリット・デメリットを様々な観点から検討する必要があります。
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