2016年11月25日
消費税法では、社会政策的な配慮に基づき一定の取引については消費税を非課税とする規定があります。具体的には、医療費、学校教育費、住宅家賃などが該当します。
一方、商用テナントの家賃については、非課税規定には該当せず、課税取引となります。
では、例えば居住用として賃貸した物件を実際は事務所として使用している場合、この家賃は課税仕入れにすることができるでしょうか?
消費税法上、非課税となる家賃は「契約において人の居住の用に供することが明らかにされているものに限る」と規定されております。
したがって、当ケースにおいては賃貸契約書において「居住用」と記載されていることから、非課税取引となり、課税仕入れにはできません。
通常、税務では「実態」や「実質」を重視します。そのため、契約書の文言がどうなっているかではなく、取引の実態で判断するのが本筋とも考えられます。
しかし、一般に貸主側では借主の使用実態を正確に把握するのは困難といえます。そうすると、貸主は居住用のつもりで貸しているため「非課税売上」、借主は実態が事務所であるため「課税仕入れ」と、表裏一体の取引に矛盾が生じることがありえます。
このような事情から、実態ではなく契約書によって判断すること、と特別に法で定めていると考えられます。
借主側では、事務所として使用していることから、特段の検討をせずに「課税仕入れ」と処理してしまいがちですので、注意が必要です。
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